第22回クリーニングに関する情報セミナー
−クリーニング基礎講座(原理から知るクリーニング)−

直線上に配置

クリーニングに関する情報研究委員会       
                   委員長 牛田 智(武庫川女子大学・教授)

 汚れた衣服がクリーニングできれいになるのは誰にでもわかることですが、消費者にとっても、またアパレルに携わる者にとっても、クリーニングは一種のブラックボックスです。クリーニングとは、染料や加工剤が含まれている繊維から、洗剤や溶剤といった薬剤の力により汚れを取り除く工程ですが、繊維、染料、加工剤や、洗浄に使われる様々な薬剤の特性が把握できていないとトラブルになりかねません。
 変退色のトラブルは、クリーニングで顕在化することがしばしばありますが、その理解には染料の知識が必要です。クリーニングにおける、洗剤やドライクリーニング溶剤の特性はどう理解したらいいのか。なぜそのような特性が生じているのかの基礎的な理解があるとトラブルの回避につながります。またクリーニング前後のシミヌキも、様々な薬品が動員されて行われています。
 今回のセミナーでは、実演(簡単な実験)も交えながら、原理的なことも踏まえたクリーニングに関する基礎講座としました。少しは薬品や化学的な観点も入りますが、亀の甲や化学式を使った専門的な理解ではなく、物質を形づくる「分子」の特徴や振る舞い関するミクロの視点からの理解やクリーニング工程において果たす役割の理解を目指しました。

  過去のセミナーについては、クリーニングに関する情報研究委員会のページ

[日 時] 2010年3月24日(水) 10:00〜16:40(受付開始:9:40) <終了しました>
[場 所] ドーンセンタ−(大阪府立男女共同参画・青少年センタ−) 4F大会議室(1)
  大阪市中央区大手前1−3−49 TEL: 06-6910-8500
  (京阪天満橋駅・地下鉄谷町線天満橋から東へ徒歩5分)
[内 容]
10:00 開会挨拶
10:10〜11:30 
1.講演「クリーニングに必要な染料の基礎知識」
   ・・・・・・・・・・・ 武庫川女子大学 牛田 智
 染料は、絵の具やペンキとは違い、繊維の内部にまで浸透させて着色します。そのため多くの染料は水溶性ですが、水に溶けるはずの染料が、水洗いしても色が落ちないのはなぜかという染色の原理について、染色や脱色の実演を交えながら、変退色のトラブルを見据えてお話しします。

12:30〜15:00(2と3の間に途中休憩有)
2.講演「ランドリークリーニングに関する基礎知識」
   ・・・・・・ 大阪府クリーニング研究所 桑野富夫
 商業クリーニングでは、どのような洗剤を用い、どんな装置で、どのような条件で水洗いが行われているのか。そもそも、油汚れを水で洗うとはどういうことか。そのためには、どのような薬剤の手助けが必要か。また、水洗い後の乾燥や仕上げ工程はどのようなものか。基礎的なお話しをします。

3.講演「ドライクリーニングに関する基礎知識」
   ・・・・・・ 大阪府クリーニング研究所 桑野富夫
 ドライクリーニングは新溶剤も含め、いろいろな溶剤が使われています。同じ石油系溶剤でも、実は様々な違いがあります。絵表示が「セキユ系」指定の衣類をパーク(パークロロエチレン)で洗ってはダメなのか。そもそもなぜ「セキユ系」の表示があるのかといった疑問もあります。溶剤の特性、クリーニング時の溶剤管理、それらにまつわる問題点を、実演を交えて解説します。

15:10〜16:40
4.講演「シミヌキに関する基礎知識」
   ・・・・・・ クリーニングショップ中村 中村安秀
 シミヌキは、どんな薬品を用いて、どんな原理に基づいて行われているのか。生地へのダメージは大丈夫なのか。シミは抜けたけれどもその後変色したりはしないのか。といったことを、実際の業務用シミヌキ機を持ち込んだ実演も交えて解説します。参加者が体験する時間も設ける予定です。講師は、繊維製品品質管理士の資格を持ち、NHK「まる得マガジン」「おしゃれ工房」などでもおなじみのクリーニング師。大阪南港フリーマーケットでの月に一度の「しみぬき屋」の出店の中心メンバーでもいらっしゃいます。

[定 員] 70名
[参加費] 会員(含む協賛団体)5,000円,非会員8,000円,学生2,000円(いずれもテキスト代含む)