第1回消費科学シンポジウム
<2008年9月開催>
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 近未来社会へ向けて私たちは何を目標に、何をすれば良いのか。企業においても大学においてもこれからの研究者・開発者は、所属している組織との関係だけでなく、個人・地域・社会を取り巻く一市民としての発想と意識を同時に捉えていかなければ企業も公的機関も大学も成立し得ない時代に突入して行きます。
 「消費科学シンポジウム」は、日本繊維製品消費科学会が社会的にも影響を及ぼす、または及ぼしかねない課題を抽出させて、学会の役割として皆様とともに取り組むべく、開催しました。

〔日時〕  2008年9月19日(金)9:50〜17:00 <終了しました。>
〔会場〕  大阪産業創造館(大阪市中央区本町1-4-5  tel 06-6264-9800(代))
              地下鉄 中央線・堺筋線「堺筋本町」 2番、12番出口 徒歩5分

《テーマ:持続可能な社会のあるべき姿と生活・消費を考える》
 地球環境問題が深刻化し、洞爺湖サミットの主要議題になるなど、持続可能な社会の実現に向けての取り組みが本格化しています。国家やNGOによる国際的な連携・枠組みつくりと同時に、一人一人のライフスタイルや企業活動のあり方を考え直す必要があります。「生活」(衣食住が生活の基本)および生活の根幹をなす「消費」のあり方について、 “賢い消費活動が持続可能な社会の実現を支える”との認識の下に、本シンポジウムを企画しました。
 基調講演で持続可能な社会のあるべき姿を内藤先生に示して頂き、そのあとに企業(川上と川下)、技術、意識、生活の面から、課題はどこにあるのか、どのように変わっていかなければなないかをそれぞれの専門の立場から語っていただきました。
 今後、消費科学に関する研究および開発を進める上で、必ず考慮していかなければならない地球環境問題に関して有益なお話を伺うことができました。

挨拶(10:00〜10:10)  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・本学会会長(日本女子大学教授) 島崎恒藏

<基調講演90分(質疑応答を含む)>
1.基調講演(10:10〜11:40)
「自然と共生する循環型社会像と生活・消費のあり方」
  ・・・・・・・・・・・・滋賀県琵琶湖環境科学研究センター所長(京都大学名誉教授)内藤正明
 真の持続可能な社会は、単に地球環境危機の進行を阻止する緩和策ではなく、危機が来てもそれに適応して生き残れる社会です。地域の自然、社会、技術、文化などに立脚した「自然共生の地域自立型」を目指す「滋賀ビジョン」について説明します。この「滋賀ビジョン」は、日本の他の地方でも、世界の国々でも参考になるはずですし、実際注目をして頂いています。
(11:40〜12:30 昼食・休憩)

一般講演50分(質疑応答を含む)>
2.(企業が変わる<川上>)(12:30〜13:20)
 「完全循環型リサイクルシステム」
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・帝人(株)環境・安全室長 後藤 陽、帝人ファイバー(株)マーケティング部長 大河原茂
 帝人グループは環境を重視した経営を行ってきましたが、さらに一歩進前に進めて先進的な“環境経営”を経営活動の柱にすべく、2007年7月に「環境経営宣言」を行い、新たな取り組みを開始いたしました。これまでの環境問題に関する歴史と、合繊の技術・商品開発を含む新たな取り組みについて紹介していただきました。 
  
3.(企業が変わる<川下>)(13:20〜14:10)
  「最高の製品を作り,環境に与える不必要な悪影響を最小限に抑える」
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・パタゴニア 日本支社副支社長 辻井隆行
 「最高の製品を作り、環境に与える不必要な悪影響を最小限に抑える。そしてビジネスを手段として環境危機に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行する」という社是のもとに、2010年までに製造する全ての製品をリサイクル可能にするという目標を掲げています。取組みの経過から、製品デザイン、製造についての理念を紹介していただきました。
   
4.(技術が変わる)(14:10〜15:00)
 「爆食中国後」の世界繊維産業
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・IS(株)/染織経済新聞社長 佐々木一彦
 巨大怪獣が大量の資源を消費し、大量の公害を吐き出す「爆食」成長には限界が見えています。今後生き残るのは、環境と生産の調和を前提に消費者に愛好されるものを、常に創造できる新商品開発能力を有する企業でしょう。中国やヨーロッパなどの事例を通して、今後のグロ−バルな繊維産業のあり方を展望していただきました。
(15:00〜15:10休憩)

5、(意識が変わる)(15:10〜16:00)
  「賢い消費活動とは」
   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・生活研究家、消費生活アドバイザ− 阿部絢子
 モノは資源とエネルギーから作られています。モノを有効に使うにはどうすればよいのでしょうか?消費者の立場からモノを無駄にしない生活を考えてみます。今後の企業活動のありかたのヒントが隠れているのではないでしょうか?

6、(生活が変わる)(16:00〜16:50)
 「環境を考えた商品選択」
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会常任理事 環境委員長 辰巳菊子
 私たちの暮らしは、商品を消費することで成り立っており、環境への負荷をかけずには暮らせなくなっています。どんな観点で環境に配慮された商品を選択することが「持続可能なくらし」に繋がっていくのでしょうか?グリ−ンコンシュ−マ−が望む環境情報とは何かを提言していただきました。

〔定員〕   80名
〔参加費〕会員(学校,官公庁)7,000円,会員(団体,企業)10,000円,非会員13,000円 学生会員2,000円,

「持続可能な社会における生活と商品」研究委員会(仮称)設立について
研究委員会設立の趣旨と目的
 地球環境問題が深刻化し、持続可能な社会の実現に向けての取り組みが本格化している。地球規模での枠組みづくりと同時に、一人一人が日々の生活はどうあるべきかを真剣に考える時期にある。本研究会では、「持続可能な社会」の意味を正しく理解するとともに、その社会における生活と商品のあるべき姿を考える。
研究委員会設立準備会を開催しました。
 研究委員会設立の趣旨に賛同される会員に、9月19日の消費科学シンポジウムの終了後にお集まりいただき、研究委員会の活動内容、運営方法など研究委員会設立に向けての具体的な内容を討議しました。

日時・場所:2008年9月19日(金)17時から約1時間(シンポジウム終了後)、大阪産業創造館<終了しました。>
議 題:(1)趣旨・目的 (2)活動内容 (3)運営方法 (4)メンバー募集方法 など